就業規則

労働契約法と就業規則

近年、労働関係をめぐる状況は大きく変化しています。終身雇用を前提とした年功序列制度から、終身雇用に縛られない成果主義制度への移行が進み、有期雇用、パートタイマー、派遣、請負等就業形態も多様化してきました。

企業に対する忠誠心・従属意識は低下し、労働者個人の権利意識が高まってきました。インターネットの普及により、労働法及び周辺知識、トラブル解決策が簡単に手に入るようになりました。自分の働く会社が法令を遵守していないことに気づいた労働者が、待遇改善を求めていきなり提訴に踏み切る例も増えています。

懲戒・解雇・労働条件等を巡っての個別労使紛争も増加する一方です。しかし、企業内労働組合の組織率は低下し、働き方も多様化しているため、集団的に労働条件を決定することは困難になっています。

これまで、労働条件の最低基準の履行は、罰則付きの労働基準法にゆだねられていたものの、民事上の契約関係に関するトラブルは民法(労基法の一部も)等の規定によるほかは、判例に基づいて解決が図られてきました。

しかし、判例は一般には知られておらず、現行法制度のもとでは個別・多様化した労使トラブルに対処しきれなくなってきたため、紛争の未然防止・早期解決に向けた体系的な法制度が求められるようになりました。

労働契約法は以上のような時代の要請から平成19年11月28日に成立、同12月5日公布、平成20年3月1日に施行されましたが、中でも就業規則に関する規定は非常に重要な意味を持っています。

すなわち、労働契約の内容は、就業規則で定める労働条件そのものによることとなったのです。

労働契約法
(労働契約の成立)
第七条  労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

ただし書き以下は、就業規則を上回る労働契約を個別に結ぶのは有効ですが、就業規則を下回る労働契約は無効ということです。

たとえば、就業規則上定年が65歳と定められている場合に、70歳を定年とする労働契約を結ぶのは有効ですが、60歳を定年とする労働契約は無効となります。無効となった部分は就業規則で定める水準である65歳定年まで法律上自動的に引き上げられます。

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